清州(チョンジュ)の豊かな自然に抱かれた大成洞(デソンドン)エリア。前回ご紹介した賑やかな繁華街少し歩くと、それまでの都会の喧騒が嘘のように消え去り、厳かで美しい伝統建築が姿を現します。今回は、韓国の精神のルーツを体感できる隠れた名所「清州郷校(チョンジュヒャンギョ)」の魅力と、知っておくと旅が10倍楽しくなる歴史トリビアをご紹介します。
そもそも「郷校」ってどんな場所?

郷校とは、高麗時代から朝鮮時代にかけて地方に置かれた、今でいう「国公立学校」のような教育機関です。


地方の優秀な若者たちが集まり、社会の道徳や秩序のベースとなる「儒教(朱子学)」を熱心に学んでいました。単に勉強をする講堂があるだけでなく、儒教の祖である孔子や、偉大な学者たちの精神を祀るという重要な役割を兼ね備えていました。
【ミニ解説】なぜ韓国で「儒教」はここまで深く根付いたの?

韓国を旅していると、年齢を重んじる文化や、親を大切にする姿など、日常のいたるところで「儒教」の精神を感じることが多いですよね。
儒教とは、約2,500年前に中国の孔子が開いた「人間としてどう生きるべきか」「社会の秩序をどう保つべきか」を説いた道徳や哲学です。
韓国でこれが深く根付いたのは、朝鮮王朝(1392〜1910年)の時代。王朝は仏教に代わり、儒教を「国の公式な政治理念・道徳規範」として全面的に採用しました。法律から冠婚葬祭のルール、教育に至るまで、国を挙げて500年以上もの間徹底的に浸透させた結果、現代の韓国人のDNAにまで深く刻まれることになったのです。その地方教育の最前線の拠点こそが、まさにこの「郷校」でした。
全国屈指と讃えられる、清州郷校の「傾斜の美」

清州郷校の最大の魅力は、ウアム山の裾野というロケーションを活かした見事な建築配置にあります
韓国の伝統的な学校建築のルールである「手前で勉強し(明倫堂)、奥の一番高い神聖な場所で先祖を祀る(大成殿)」という構造が、斜面に沿って階段状に美しく表現されています。


現地では「全国で最も美しい郷校の一つ」と言われるほど、周囲の豊かな木々や自然の地形と、古い木造建築が見事に調和しており、どこを切り取ってもカメラに収めたくなる美しさです。
ウォン札の偉人がずらり!大成殿のロマン

門をくぐり、美しい石段を上りきった先にあるのが、深い緑の格子扉が印象的な「大成殿(テソンジョン)」です現在、この場所は結婚式会場で人気がある所となっています。
このお堂の奥には、儒教の開祖・孔子をはじめとする聖人や、韓国の歴史を動かした18人の偉大な学者たちの位牌が大切に安置されています。

韓国の1,000ウォン札に描かれている最高峰の学者「李滉(イ・ファン)」や、5,000ウォン札の天才学者「李珥(イ・イ)」など、現代の韓国人なら誰もが知る歴史上の巨匠たちがここに祀られているのです。韓国がいかに儒教を大切にしているかが分かります。
かつての学生たちが、お札に描かれるほどの偉大な先輩たちの背中を追いかけてこの地で猛勉強していたと思うと、時を超えたロマンを感じずにはいられません。
スポット情報
【清州郷校(청주향교)】
忠清北道 清州市 上党区 大成路122番ギル 81
(충청북도 청주시 상당구 대성로122번길 81)
忠清北道庁から徒歩約10分。ウアム山の麓に位置します。
